お読みになる前に・・・
サンダーフォースはTFと略します。
あらかじめ、ご了承ください。
では、ごゆっくりどうぞ。
エピローグ・・・
いつの時代でも、科学者という人種は自分の研究成果を実証するために人身御供を探しているものだ。
今回の無謀ともいえるライネックスの単独出撃もそうだった。
オーン帝国の残党・・・皇帝「カウ・ス」の腹心ともいえるサブシステム「ヴィオス」の自己増殖によって生み出される未知なる敵・・・。
ステュクスと二人の勇敢なパイロットの活躍により、
メインコンピューターをかろうじて先の大戦(TF3)で破壊することに成功する。しかしその後もなぜか帝国軍の勢いは衰えず、各地で出没する未知なる帝国軍に悩まされ続けていた。
この未知なる軍は、どうやら「ヴィオス」が生み出しているものらしい・・・。
銀河連邦は2年もの長期にわたり、その総力をかけて「ヴィオス」の所在を探索を行った。
そしてついに惑星アクエリアに「ヴィオス」の潜伏をキャッチする。
だが2年という時間は「ヴィオス」にとっては長すぎたようだ。
討伐に向かった銀河連邦軍はことごとく敗走する結果に終わった。
「ヴィオス」は銀河連邦軍の弱点や特性を全て知りつくしていたのだ。
それらをフィードバックされた帝国軍兵器を前に、銀河連邦軍には成す術がなかった。
このかつてない銀河連邦存続の危機に、科学者達がはじきだした回答がこれだった。
「次期主力超高性能小型戦闘機による単独敵中枢突破」
スーパーコンピューターがはじきだした
作戦成功率は、
1%・・・
この人命無視とも思われる作戦の是非に対して、
科学者達はしたり顔でかならずこう言う。
「成功確率が1%もあるのだから」と・・・
科学者達は無謀な行為ではないと論評するのだ。
この作戦案に対して、
当時の銀河連邦軍技術情報局のスタッフたちは強固に反対した。
「無茶だ!まだ完熟飛行さえすんでないんだぞ!?」
「それに・・・サンダーソードシステムだって、まだ完成しちゃいない!!」
しかしながら、銀河連邦軍はこの作戦案を容認する・・・。
かくして、
開発コード FIRE REO 4「RINEX(ライネックス)」は
漆黒の宇宙(そら)に向かって飛翔した・・・。
激戦・・・ のすえ、「ヴィオス」は破壊された。
ライネックスの活躍によって、銀河連邦は未曾有の危機を乗り切ることが出来たのだ。
しかし、英雄として盛大に迎えられるはずだったライネックスと二人のパイロットたちは、永遠に祖国の土を踏むことはなっかった・・・。
ライネックスが闘いの傷を癒すのを望んでいるかのように、宇宙空間は広大に広がっていた・・・。
最後の闘いで破壊した「ヴィオス」の爆風に巻き込まれ、ライネックスは予想だにしなかった空間座標へ飛ばされてしまった。
エンジン部分の損傷が激しく、もはや自力で航行することは不可能。
このままライネックスは永遠の眠りについてしまうのだろうか?
その問に回答できる人間はいない・・・。
誰が、いつ、どこで、
ライネックスが不死鳥のごとく蘇り、宇宙(そら)を力強いエンジンで飛翔するのを予測できる人間がいるだろうか?
いかなるデータや実質的な詳細から分析しても、オーン帝国の復活は考えられない。
潜在的な敵と関連づけられるようなデータは何もない・・・。
最初「ヴィオス」を認識された危険要素とみなせなっかった。
それは未知であるがゆえ、その存在を確認できなかったからである。
激しい闘いによって銀河連邦が引き裂かれてから、「ヴィオス」を認識することができ、この未知なる敵に対して銀河連邦は起つことができた。
銀河連邦はライネックスのカミカゼアタックによって、かろうじて生き長らえることができた。
しかし次の闘いで生存を保証することができるだろうか?
必然的に人間たちはもっと困難な苦難に遭遇するだろう・・・。
時は流れ・・・
ー西暦2106年ー
彼は悔やんでいた。
米国大陸南部の・・・とても都会とはいえない片田舎の天文観測所に配属された己の不幸を。
もともと彼は仕事が楽そうだからという理由だけでE.S.S.A(統合政府宇宙局)に就職したのだ。
さして天文学に興味のない彼にとって、ここの仕事は苦痛でしかなかった・・・。
毎日の仕事といえば、太陽系の各宙域に放たれた無人調査宇宙機から送られてくる調査データをチェックするだけ。
彼はコーヒーを飲みながら、無人調査宇宙機「石華」から送られる(彼にとってはつまらない)調査データのモニターを、いつものようにチェックしていた。
「石華」とは、太陽系最遠部に位置する冥王星外部のカイパーベルトの彗星群を調査するために3年前に派遣された調査機である。
「これでオーソンウェルズが書いたような火星人でも写ってりゃ、ここの仕事も少しはおもしろいんだがな」
彼は冷めかけたコーヒーをすすりながら、次に画像データのチェックを始めた。
送られる画像データの半分程まで見進めた時、彼は信じられないものを目撃する。
「な・・・っ!? これはどうみても人工物の残害じゃないか!」
続けて送られてきた成分分析データも、この残害が地球人以外の何物かのテクノロジーによって創られていたことを証明していた・・・。
この残害との遭遇によって人類は半世紀後に総人口の1/3を失うことになろうとは、彼は知る由もなっかった・・・。
To be continued.
TFV・・・